今日は夕方から会合があり、少し早めに家を出て石津の海岸によってみた。
真っ赤な夕日が松林の上にさしかかるところでした。
海岸には夏の終わりを楽しむかのように、つり人たちが、
上手に間隔を空けてさおを投げている。
この時機、今夜は何が目的なのだろうか。あじ、きす、それとも・・・たち魚?
漁師の息子のくせして、とんと魚つりにうといのだ。
魚つりは好きなのだが、なぜか“時間が、もったいない”ような気がして、・・・
普段ろくな時間の使い方をしていない自分に、もうひとりの自分が“つりでもして、もう少し心をおちつかせたら”っとささやく。
海はいい。
ざざざ~と繰り返す波の音が、硬くこわばり閉ざしたこころの扉を、ゆっくりゆっくり開いてくれる。
“まあ人生思い通りにならないときもあらあ~ね。”って。
浜辺に寝っころがって空を見上げると、いくつものちぎれ雲がふんわりふんわりやさしく語りかけては、ゆっくり視線から消えてゆく。
あたりがだんだん茜にそまり、対岸の静岡の街の灯かりが灯り始める。
あ! 水平線の上から・・・
太陽の明かりを映して、まんまるいオレンジのお月様が・・・
思えば、半世紀以上このふるさとの海を見て育ったが、
ここから見るお月様も限りなく見てきたが、
今日のこのお月様が一番きれい。
お月様はこころの鏡。
今日が一番きれいと思えることに感謝。家族に。友人・知人に。
おだやかな海面にオレンジのムーンロードが引かれ、私を招いている。
あのムーンロードの先にあるのは・・・、
竜宮城の入り口?
それとも異次元へのプロムナード?
何が待っているんだろう。渡ってみたくなった。
ふっと、我にもどると足元近くまで真っ白な波頭が迫っていた。