孫ロス症候群





小雨に濡れた晩秋の坂道を少し登っていくと小さな斎場がひっそりと佇んでいた。
高校時代からの友人のおふくろさんの旅立ちを見送りに初めて来た斎場である。

初めてと言えば、人生で始めて酒飲んで友人の家に泊めてもらったのがこの友の家であった。
翌朝お袋さんが味噌汁を作ってくれて、そのニオイで又吐いてしまうという大失態をおかしたのも今は懐かしい。45年も前のことが昨日のように。

いつ行ってもにこやかでやさしいお袋さんであった。
このお袋さんにはもうひとつエピソードがあり、アロマセラピー講座で何度か講座のネタにさせていただいた。

それは、
ある年、ご主人と長いこと可愛がっていた猫が相前後して亡くなったことがあった。
その時、ご主人を亡くした時はそれ程にもなかったが、猫ちゃんが亡くなった時一週間位寝込んでしまったとのこと。
ご主人は仕事柄帰宅が遅かったり泊りのことが多く、いつも膝に猫を乗せてご主人の帰りを待っているという暮らしを続けて来たという。

日本人は、特に高齢になると、抱擁したり肌と肌で触れることが少ない。
その分猫ちゃんやわんちゃんが代行してくれて、それが、人間の五感の中で一番やすらぎを感じさせてくれる大切な”触覚”を満たしてくれる。

猫ちゃんを膝の上に乗せてなぜることで、いつもお袋さんの心の平安が保たれていたのだった。
だから、猫ちゃんを失った時の喪失感が大きかったのです。
まだそんなにペットロス症候群が注目される前の話である。

我が家でも同じことが言えそうかもしれない。
昨今はぎゅっと抱きしめる相手は、もっぱら可愛いお孫ちゃん。
ペットではないが、いやいや、もっともっと崇高で無垢な魂でジジとババを抱擁してくれる。
これ以上の贈り物はないだろうが、ペットと違い、孫はあっというまに成長して離れてしまう。
ペットロスならぬ、孫ロス症候群にならないようにせねば。
今年も残り少なくなってきた。
  

Posted by ほのぼのみやさん. at 2012年11月21日21:36